1.pregnant mare serum gonadotropin (PMSG)を投与した25日令幼若雌ラットの卵巣における誘導型NO合成酵素(iNOS)のmRNAのレベルは6時間後に一旦低下するが、その後再び上昇し48時間後には元のレベルに復することが、Northern blot法により確認された。 2.正常性周期およびPMSG投与により過排卵処理した25日令幼若雌ラット卵巣組織において、iNOSのmRNA・タンパクの発現がin situ hybridization法あるいは免疫組織化学法により確認された。iNOSは大部分の未熟卵胞(一次卵胞、二次卵胞、初期三次卵胞)の顆粒膜細胞に発現しており、卵胞腔を形成するレベルの成熟卵胞には認められなかった。莢膜細胞には、iNOSの発現はほとんど認められなかった。また、卵細胞にiNOSの発現は認められなかった。 3.ラット卵巣顆粒膜細胞培養系において、tumor necrosis factor α、interleukin-1β、interferon-γの存在下で、iNOSのmRNAの発現がNorthern blot法により確認された。その発現量は、三種のサイトカインが共存した場合が、単独あるいは二種共存の場合より多かった。これらのサイトカインは、卵巣内にその存在が既に報告されているものである。 以上の結果より、顆粒膜細胞においてiNOSにより合成されるNOが卵胞発育に関与する可能性のあることが示唆された。
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