研究課題/領域番号 |
09671667
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤村 正樹 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (80242501)
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研究分担者 |
泉 陸一 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (30010177)
山川 義寛 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (90191212)
日高 隆雄 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (70283083)
伏木 弘 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (70173375)
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キーワード | 卵巣明細胞腺癌 / 薬剤耐性 / ステロイドホルモンレセプター / HRT |
研究概要 |
本年度(H9年度)は、卵巣明細胞腺癌の生物学的特性の解明を目的とした各種検討を行った。まず、本腫瘍の最大の問題点となっている薬剤耐性の機構解明については、MDR-1遺伝子産物(P-glycoprotein)、およびGST-pi遺伝子産物の発現を、手術検体例について検討し、卵巣漿液性腺癌の抗癌剤奏効群、無効群における発現頻度と比較検討した。漿液性腺癌群において、無効群ではMDR-1,GST-piとも100%の発現を示したが、奏効群でも93.3%、46.7%と高い発現率を示した。明細胞腺癌では、MDR-1、GST-piの発現はそれぞれ78%、33%にすぎなかった。以上より、卵巣明細胞腺癌の薬剤耐性機構は、MDR-1遺伝子やGST-pi遺伝子の発現亢進のみでは解明できない可能性が示唆された。次に、本腫瘍罹患患者に対する術後のホルモン補充療法(HRT)の可否を決める際の重要な知見となる、estrogen receptor(ER)、progesterone receptor(PR)の発現頻度について、手術検体を用いて検討した。また、ER陽性例が多いと考えられる卵巣類内膜腺癌症例についても同様の検討を行い比較検討した。その結果、卵巣類内膜腺癌においては、ER・PRの発現率はそれぞれ75%・92%と高率であったが、卵巣明細胞腺癌においては、0%・11.1%と極めて低率であった。また、数例の新鮮凍結標本によるEIA法を用いた検討においても同様に、卵巣類内膜腺癌ではER・PRの発現が認められたが明細胞腺癌では両者の発現は認められなかった。以上より、卵巣明細胞腺癌においてER・PRの発現はほとんど認められず、手術後のHRTを施行できる可能性が示唆された。
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