研究課題/領域番号 |
09671667
|
研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤村 正樹 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (80242501)
|
研究分担者 |
山川 義寛 富山医科薬科大学, 医学部, 講師 (90191212)
日高 隆雄 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (70283083)
齋藤 滋 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (30175351)
|
キーワード | Clear cell adenocarcinoma / Ovarian cancer / Tyrosin Kinase / Cytokine |
研究概要 |
本年度(H10年度)は、卵巣明細胞腺癌の1)薬剤削性の機構解明、2)増殖機構の解明についての検討を行った。薬剤耐性の機構については、本腫瘍においてMDR・GST-π両遺伝子産物の発現率が他の組織型の腫瘍と比較して決して高くはない事を示してきたが、本年度は、薬剤耐性機構解明の端緒として、まず当科にて初回手術を行った症例から継代培養中の細胞株を樹立し、先に樹立されている卵巣明細胞線癌株3株とともに薬剤感受性試験を行った。単剤の検討では、いずれの細胞株もCDDPに対して非常に強い薬剤耐性を示した。また、検討した薬剤の中ではCPT-11が4株中3株に感受性を示し、最も優れた薬剤である事が判明した。また、多剤の抗癌剤を用いた検討では、CPT-11とADMの併用が最も有効であった。また、これらの細胞株中における、CPT-11のtar getであるtopoisomer ase-1遺伝子の発現をmRNAレベルでNorthern blot法にて検討したところ、CPT-11に感受性を示した3株においてmRNAの発現が確認された。次に本腫瘍の増殖機構の解明については、先にestrogene receptorの発現が極めて低率であり、本腫瘍がestrogenによっては増殖促進されない可能性を指摘してきたが、本年度はin vitro、in vivo(SCIDmouse xenogarfts)の両実験系において、estrogen添加によっても本腫瘍の増殖が促進されないことを示し、本腫瘍の増殖機構がestrogen dependntではないことを明らかにした。そこで、多くの癌の増殖を促進する事が知られているtyrosin kinase型膜受容体を介した刺激が本腫瘍においても増殖促進機構に何らかの影響を及ぼしている可能性を考慮し、tyrosin kinase型膜受容体を介する各種サイトカインを上記細胞株に添加し細胞の増殖能を検討した。検討した4株全てについて、bFGF、EGF、TGF-αが有意に増殖を促進した。また、臨床検体においてEGFRおよび同様にtyrosin kinase型膜受容体であるc-erbB-2蛋白発現を免役組織染色にて検討したところ、高頻度に発現が認められた。以上より本腫瘍が上記各種サイトカインによって増殖を促進されていることが判明し、新たな治療法開発の端緒が得られた。
|