研究概要 |
(1)卵巣明細胞腺癌培養細胞株を用いた検討において、抗癌剤の基軸薬剤はCPT-11であることが判明した。また、温熱、Glycerolなどの増感法によって培養細胞株はその増殖を抑制されたが、いずれもその増感条件の維持は臨床的に非常に困難であると考えられた。 (2)卵巣明細胞腺癌は、ERαからの増殖制御は受けていないが、その下流に位置すると考えられるEGF, TGF-αとEGF-Rを介する増殖刺激系、さらに同様にHER2/neuを介する増殖刺激系によってその増殖、転移が制御されていることが明かとなった。 (3)この二つの刺激伝達を遮断する薬剤(ZD1839,Herceptin)は、極めて有効に卵巣明細胞腺癌培養細胞の増殖をin vitro, in vivoにて抑制し,臨床応用が可能な薬剤であることが示された。 以上より、これらの薬剤を用いた新たな卵巣明細胞腺癌の治療戦略の可能性が示された。
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