研究課題/領域番号 |
09671670
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 助手 (20235493)
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研究分担者 |
藤井 信吾 京都大学, 医学部, 教授 (30135579)
清水 元彦 信州大学, 医学部, 助手 (70226257)
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キーワード | 子宮内膜 / プロゲステロン / p27 / p53 / apoptosis / サイクリンE / cdk2 |
研究概要 |
子宮内膜腺細胞は月経周期の増殖期にはエストロゲンにより増殖し、分泌期ではプロゲステロン(P)により増殖を停止し分泌像を呈する事が知られているが、とりわけプロゲステロンによる増殖抑制機序には未だ不明な点が多い。当教室ではこの子宮内膜の増殖抑制機序を研究するにあたり、癌抑制遺伝子産物p53およびp27、更にはapoptosisの関与という観点から研究を行なっている。当教室では昨年までの研究で(i)p27の分泌期の腺上皮の機能層での著明な発現増強、(ii)内膜増殖症でのPによるp27の発現誘導、(iii)分泌期基底層腺細胞におけるapoptosisの散在性の発現、等を見いだしており、これらの事から分泌期における内膜腺細胞の増殖抑制は機能層ではPによって誘導されたp27が関与し、基底層ではapoptosisが関与するという部位別の役割分担がある可能性を指摘した。これらの知見に対する理解を更に深める目的で培養細胞を使用した実験を施行した。まず正常子宮内膜腺上皮初代培養細胞にPを添加してその前後でp27の発現を観察したところ、Pの添加後にp27の発現が増強した。またP受容体(PR)陽性の子宮内膜癌細胞IshikawaおよびPR陰性のKLE細胞に対してP投与を行ったところ、Ishikawa細胞においてのみp27蛋白のPの濃度依存性の発現増強が観察された。更にこのp27蛋白発現増強の分子的機序を解析するためにIshikawa細胞にPを投与した前後でのp27mRNAの発現をNorthern blottingにより観察したところ、p27mRNAの発現はPによりやや低下する傾向を示し、p27蛋白は転写より翻訳レベルで調節されている可能性が示唆された。一方Pがapoptosisを誘導するかを検討するために内膜増殖症でのP投与前後でのapoptosisの発現を観察したところ、P投与前後でのapoptosis数に著明な差はなく、Pはp27を介した増殖抑制を起こすのみでapoptosisはあまり引き起こさないのではないかと考えられた。
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