研究分担者 |
本郷 淳司 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10301293)
宮木 康成 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10273989)
児玉 順一 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (90263582)
上村 茂仁 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (90281154)
奥田 博之 岡山大学, 医学部, 助教授 (30033286)
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研究概要 |
Inslin-like Growth Factor I Receptor(IGF-lR)は多くの腫瘍細胞において形質転換能の獲得と維持に必須である.このIGF-IRのダウンレギュレーシeンにより多くの腫瘍細胞において形質転換能の抑制が得られている.そこでHPV陽性の子宮頚癌でも同様の生物学的効果が得られるか否かを検討した. HPV18型陽性株Hela S3,HPV16型陽性株SiHa,およびHPV陰性株C33aを材料として温度感受性HSP 70 promotor下に309bpのIGF-IR antisense mRNAを発現するexpression vectorをG418選択下で恒久的に遺伝子導入した.選択したクローンのうち,39℃培養下で有意なIGF-IRの発現抑制が確認されたものをsoft agarに植え,形質転換能の変化を検討した. C33a株で3週間後にwild typeが約90個のコロニーを形成したのに対し,選択したアンチセンス導入クローンでは14個すべてで0-14個のコロニーしか形成されず,期待どうりの著明な抑制効果が得られた.一方,Hela S3ではwild typeが2週間後に280個前後のコロニーを形成したのに対し,同様に選択した11個のクローンでは14-160個までとクローン間での著しい差異が認められた.これらのクローンの39℃におけるレセプター発現レベルをウェスタンブロットにて確認すると,形質転換能抑制効果と密接に関連していた.HPV16型陽性株SiHaにおける結果も同様であった. 以上のことから,アンチセンス法で充分にIGF-IR発現を抑制すれば,HPVの有無や型にかかわらず,子宮頚癌細胞株の形質転換能を抑制でき,IGF-IRは子宮頚癌に対する遺伝子治療の標的として期待しうるとの結論が得られた.
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