研究概要 |
未受精卵の染色体をfluorescense in situ hybridization(FISH)方を用いて分析した。体外受精や顕微授精で受精しなかった未受精卵を、日本産科婦人科学会の会告に従って患者の同意を得た上で用いた。まず、透明帯を除去した後に低張処理し、漸進固定法により各卵をスライド上に固定した。その後、標本を脱水乾燥してFISH法に供しFISH法はdual-color法またはtriple-color法で行い、dual-color法では、DNAprobeとして18番染色体とX染色体のaサテライト領域に特異的なジゴキシゲニン標識のD18Z1,ビオチン標識のDXZ1を用い、18番染色体を赤いシグナル、X染色体を緑のシグナルとして蛍光顕微鏡下に判定した。また、triple-color法では、DNAprobeとして、ジゴキシゲニン標識とビオチン標識のD18Z1を1:1にミックスしたもの、ビオチン標識のDXZ1、ジゴキシゲニン標識のD21S65を用い、18番染色体を黄色いシグナル、X染色体を緑、21番染色体を赤いシグナルとして判定した。また、シグナルの検討に加え、DAPIのフィルターで染色体の数や形状の検討も同時に行った。 dual-color法では29個の分析卵のうち23個に、シグナルを認め、すべてが正常卵であった。 triple-color法では192個の分析卵のうち171個に判定可能なシグナルを認め、18番、21番、Xのシグナルが1つずつ認められ正常と思われた卵が158個で、残りの13個の卵に異常を認めました。その内訳は、二倍体が8個、21番染色体の欠失が1個、21番染色分体の欠失が2個、21番染色体のdisomyが1個、X染色分体の欠失が1個であった。年齢別の検討では、29歳以下では41個のうち3例(6.8%)、30〜35歳では91個のうち7個(7.1%)、36歳以上では35個のうち6個(14.6%)に染色体異常が認められ、36歳以上の例で卵で染色体異常率が高かった。
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