研究課題/領域番号 |
09671686
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
鎌田 正晴 徳島大学, 医学部, 助教授 (60145018)
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研究分担者 |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50199402)
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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キーワード | イムノグロブリン結合因子 / 子宮頸管 / 抗精子抗体 / 分子シャペロン / プロテアゾーム / エストロゲン / プロゲステロン |
研究概要 |
子宮頸管腺由来のイムノグロブリン結合因子(IgBF,immunoglobulin binding factor)は、抗精子抗体の産生抑制に働くと考えられる。主任研究者らは、IgBFは通常不活性型であり、還元条件T細胞由来のプロテアゾームあるいは分子シャペロンの一つprotein disulfide isomerase(PDI)による活性化機構が存在すること、活性化因子の一つであるPDIが子宮頸管および内膜など女性内性器に局在していること、ラット子宮から抽出したtotal RNAを用いた定量的RT-PCRにより、IgBFmRNAおよびPDImRNAの発現は排卵期に増加することを明らかにしてきた。本年度は、ヒト子宮頸部腺細胞を用いて、IgBFの産生および活性化に対する性ステロイドホルモンの作用を検討した。すなわち1)無血清培地にて培養したヒト子宮頸部腺癌細胞(TCO-2)に、17β-estradiol(E_2)およびprogesterone(P)を添加し24時間培養した。2)total RNAを抽出し、ABI PRISM 7700を用いて、GAPDHを内部コントロールとして定量的RT-PCR反応を行なった。同様の検討をPDIについても行なった。その結果、1)IgBFmRNA量は、E_2添加により濃度依存性に有意な増加を示したがP添加による影響は認められなかった。2)PDImRNAについても、E_2添加による有意な増加が認められたがP添加による影響は認められなかった。以上よりヒト子宮頸管における活性化IgBFの産生はE_2により刺激され、排卵期に上昇して抗精子抗体の産生を抑制している可能性が示された。臨床的にも女性のエストロゲン欠乏状態を示す閉経後婦人における免疫系の異常がエストロゲンを含むホルモン補充療法によって改善されることを明らかにした。
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