プロモーター活性測定のための適切な細胞の選択および遺伝子発現との相関を検討するためSCCA2のRNAおよび蛋白の発現を種々の細胞を用いて検討した。子宮頸癌、皮膚癌、頭頸部癌等の扁平上皮癌と子宮体癌、卵巣癌、等の腺癌および正常ケラチノサイトの計40種類の細胞株を用いた。蛋白発現は、SCCA1およびSCCA2共通の抗原測定によるELIZAを用いて行い、RNA測定にはSCCA1およびSCCA2の遺伝子配列が98%と非常にholomologyが高いため、northern blot analysisの代わりにRT-PCRを用いて行った。扁平上皮癌細胞の上清中にはSCCA蛋白が認められ子宮頸癌細胞株SKG IIIaが最も多く18ng/mlであり、正常人ケラチノサイトNHKでは1ng/ml、腺癌細胞では測定不能(<0.01ng/ml)であった。SCCA1およびSCCA2のcDNAを用いてPCRを検討したところ、このPCRは10^9コピーから10^2コピーまで高い特異性と定量性を有することが分かった。RT-PCRにおいてもELIZA成績とほぼ良好な相関を示し、腺癌細胞では認められなかった。このため、luciferase assayにはSKG IIIa、卵巣癌細胞株SKOV3、NHKを用いた。転写開始領域をsmart systemを用いて検討したところfirst codonより上流9bpのところにあった。 deletion assayによりプロモーター活性は250-500bpのところに最も高いことが認められ、この活性はELIZA、RT-PCRとほぼ同様にSKG IIIaに最も高く、NHKではその10%程度であり、SKOV3には認められなかった。以上により、SCCA2のプロモーター活性は転写開始領域より上流250-500bpに最も高く扁平上皮癌に組織特異的であることが判明した。
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