研究課題/領域番号 |
09671690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 助教授 (30152870)
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研究分担者 |
小林 裕明 九州大学, 医学部, 助手 (70260700)
加来 恒寿 九州大学, 医学部, 講師 (60185717)
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キーワード | 進行・再発卵巣癌 / 悪性度亢進 / 末期 / interleukin 6 |
研究概要 |
本研究では、進行あるいは再発卵巣癌における担癌状態の宿主側の変化を追跡することを主たる目的としているが、初年度は、その宿主の変化を生じせしめる癌細胞側の進展について調べた。まず進行癌、再発癌が細胞生物学的にどのように悪性度の上昇があるかということとさらに、癌が生成分泌し癌末期の悪液質形成との関連が報告されているサイトカインのうちinterleukin-6(IL-6)が卵巣癌から生成分泌されているかどうかについて調べた。 臨床例について初回手術で得られた初発巣と再発に対する手術により得られた再発巣について免疫組織化学染色法により遺伝子変異の指標としての変異P53蛋白と転移能と関連があると報告されているCD44v6、増殖能の指標としてのMIB-1蛋白の発現の程度を同一症例で比較してみた。その結果p53蛋白とCD44v6は再発巣で有意に発現が増強していた。一方MIB-1には差が認められなかった。これはすなわち再発癌では遺伝子変異が高くなっており、転移能が亢進している間接的な所見と考えられた(投稿中)。 一方卵巣癌患者血清中のIL-6濃度は良性腫瘍患者より有意に高かった。また初発卵巣癌嚢胞内容液中のIL-6濃度をEIA法で調べたが、明らかに良性卵巣嚢腫内容液に比較して高い濃度であった。さらヒト卵巣癌培養細胞の殆どが培養液中にIL-6を生成分泌していることが明らかになった。これらの結果からIL-6は臨床的にも卵巣癌が生成分泌していることが示された。来年度から末期を形成する進行・再発癌と宿主の関係を明らかにしていく。
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