研究概要 |
当科に収集された子宮体癌症例のHE標本を全て再検鏡して組織型、分化型、核異型度、浸潤の深さ、脈管侵襲の有無について検討した。対象症例で代表切片を選択し新たに組織切片の作成を行った。子宮体癌85例について第VIII因子関連抗原の免疫染色を行い血管内皮を染色して微小血管を同定し、200倍1視野当たりの微小血管数および微小血管密度を算出した。微小血管密度と腫瘍分化度、筋層浸潤の深さおよび脈管侵襲との間に有意に関連があること、さらに微小血管密度と生存率および無病生存率とが有意に関連しており、多変量解析を行い微小血管密度が独立した予後因子であることを明らかにし誌上に発表した(Kaku T,et al.Cancer 1997;80:741-747)。 子宮内膜増殖症の有無で子宮内膜癌が大きく2つのタイプに分けれることが明らかにしてきたが、さらに2群の性格を明確にするため免疫組織学的に微小血管密度と癌抑制遺伝子P53について染色を施行し、微小血管密度と癌抑制遺伝子P53の発現が内膜増殖症非合併群では合併群に比して有意に高いことを明らかにした(Kaku T,et al.Gynecol Oncol 1999;72:51-55)。 子宮頸部腺癌においても多変量解析を行い微小血管密度が独立した予後因子であることを明らかにし誌上に発表した(KakuT,etal.Cancer 1998;83:1384-1390)。 子宮頸部扁平上皮癌および卵巣癌でもCD34抗原を用いて血管新生の免疫染色を行い、微小血管数および微小血管密度を算出し、微小血管数および微小血管密度とリンパ筋転移の有無ならびに生存率との関連を解析した。また多変量解析を行ない血管新生が独立した予後因子であるか否かの検討を行って、これらの腫瘍でも血管新生が発育、進展に関連していることが明らかになり、この成果を投稿中である。
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