生後1から2日目の新生仔ラットの下肢長骨を培養液(minimum essential medium alpha medium ; Gibco BRL)中で細片化し、ピペットで攪拌して破骨細胞を遊離し、浮遊液をカバーグラスに散布した.顕微鏡下に3から4つの核を持つ細胞を全細胞電位固定法に使用した.破骨細胞であることはtartrate-resistant acid phosphatase(TRAP)で染色されることで確認した.外液を134 mM NaCl、6 mM KCl、10 mM glucose、0.5 mM MgCl_2、1.25 mM CaCl_2、10 mM HEPES(pH 7.3; Trisにより調節)とし(、ピペット内液を140 mM KCl、10 mM EGTA、2 mM ATP、10 mM HEPES(pH 7.3; Tris により調節)とし)た条件下で全細胞電位固定法で破骨細胞の電流を記録すると内向き整流性K電流が記録された.外液に1 nM以上の濃度の17β-estradiolを投与するとこの内向き整流性K電流は17β-estradiolにより用量依存的に抑制された.このことから17β-estradiolは破骨細胞の内向き整流性K電流の抑制により膜を過分極させ、破骨細胞の骨吸収作用を抑制するものと考えられる. 臨床的研究としては卵巣摘出後の女性に結合型エストロゲン0.625mg/日によるホルモン補充療法を施行中にDEXA法にて骨量の変化を測定し、卵巣摘出後早期の急激な骨量減少は結合型エストロゲン単独では抑制しきれないこと、および結合型エストロゲンとイプリフラボン併用療法で卵巣摘出後早期の骨量減少を抑制可能であることを見いだした。
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