研究課題/領域番号 |
09671696
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
岩坂 剛 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (60117067)
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研究分担者 |
内山 倫子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (40274609)
横山 正俊 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (40230669)
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キーワード | 子宮頚癌 / Telomerase / 発癌 / 子宮頚部上皮内腫瘍 / ヒト乳頭腫ウイルス / p53遺伝子 |
研究概要 |
I. まず、婦人科腫瘍一般において、Telomeraseの活性化がどのような形でおこっているかを検索したところ、卵巣悪性腫瘍の88%、子宮体部、頚部、および膣の悪性腫瘍では100%にtelomeraseの活性化が認められた.一方、正常子宮頚部、尖圭コンジローマ、子宮筋腫といった良性病変ではTelomeraseの活性化が認められなかった. II. in vitroにおける子宮頚癌発癌モデルとして、子宮頚部上皮由来の初代培養細胞、これにHPV16型およびHPV18型DNAを導入することによって不死化させた細胞、さらにこれらにシガレットの煙の濃縮液を反復投与することにより悪性化させた細胞を用い、これら3種類の細胞群におけるTelomeraseの活性化の状況を検討した.この結果、不死化細胞の段階からすでにTelomeraseの活性化が起こっていることがわかった.子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)から得られた細胞株についても検索したところ、この細胞にもTelomeraseの活性化が陽性であった. III. 正常子宮頚部、CIN I度、II度、III度、および子宮頚部浸潤癌について、その剥離細胞標本におけるTelomerase活性化の有無を検索したところ、正常子宮頚部(62例)ではその8%に、CIN I度(27例)では26%、II度(17例)では35%、III度(19例)では68%にTelomeraseの活性化が認められた.さらに、子宮頚部浸潤癌(30例)ではその97%に陽性であった.この結果はTelomeraseの活性化が、子宮頚癌発癌過程の比較的早期に起こりうること、また子宮頚部病変の進行とTelomerase活性化の頻度の上昇がよく相関することを示している. IV. 245名の子宮頚癌スクリーニングにおいて1名(0.4%)に異常が認められた.この1例からはlow risk型に分類されるHPV6型が検出され、telomeraseの活性化は認められなかった.一方、細胞診正常と診断された244例中16例(6.6%)にtelomeraseの活性化を認めた.HPVDNAの検索では16例中9例(56.3%)にhigh risk群のHPVDNAが検出され、コルポ診および生検ができた14例中9例にCIN病変が証明された.これらの結果は、telomeraseの活性化にhigh risk群のHPV感染が関与している可能性を示唆している.
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