基礎実験として我々はインスリン低血糖ストレスとグルコースの影響を検討し報告してきた。卵巣摘出estradiol処置ラットの視床下部内側底部より多ニューロン発射活動を記録し、LHと同期するMUAの一過性亢進の発現がインスリン投与で停止すること、グルコース投与で直ちに出現すること、オピオイド拮抗剤により解除されないことを明らかにし、GnRHパルス発病態の重症化にともない昼夜におけるLH律動的パターンが思春期を逆行するパターンをとること明らかにした。さらに視床下部性無月経におけるストレスの関与を明らかにする目的で、CHR負荷試験によるACTH、コルチゾールの反応性によりストレスの関与を定量化し、病態の改善に伴いゴナドトロピン分泌の改善に先駆けてその反応性が回復することを明らかにした。一方、LH分泌が亢進し、高振幅のLH律動的パターンが特徴であり、さらに副腎機能異常と密接に関係している多嚢胞性卵巣症候群に注目し、hCRを用いて視床下部下垂体副腎系検査を行うことにより、3群に病態分類が可能であることを示した。1群は視床下部下垂体副腎系は正常であり、高アンドロゲン血症は卵巣型のことが多く、2群はhCRHに対する下垂体のACTHの反応性の亢進により副腎型高アンドロゲン血症を高頻度に合併し、3群はCRHの視床下部での分泌亢進が見られ、クッシング様といえる病態であり、副腎型高アンドロゲン血症、肥満を高頻度に認めた。さらに基礎実験としてCRHがPCODにおけるGnRHパルスパターンに関与している可能性を検討する目的でGnRH cell(GT1-1/GT1-7)を用いたCRHの灌流実験を施行し、CRHがGnRh分泌を亢進したことより、CRHがこの特徴的なパルス状分泌に関与している可能性が示唆された。(現在続行中)。
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