研究概要 |
性索・間質性卵巣腫瘍である顆粒膜細胞腫およびセルトリ・ラィディク細胞腫におけるインヒビン・サブユニットの免疫組織学的検討を行った。顆粒膜細胞腫においては、αサブユニットの染色は腫瘍細胞の一部に認められた。また、βA,βBサブユニットの染色もともに強く認められた。セルトリ・ラィディク細胞腫においてはαサブユニットの染色が間質細胞の多くと一部のセルトリ細胞に認められた。βA,βBサブユニットはセルトリ細胞に強く認められたが、間質細胞にも認められた。ノーザンブロット解析において顆粒膜細胞腫およびセルトリ・ラィディク細胞腫に1.6Kbのインヒビン・αサブユニットmRNAのシグナルが認められ、ヒト黄体に認められるmRNAバンドと一致した。また、両腫瘍およびヒト黄体において6.0,4.0,2.8,1.7Kbのインヒビン・βAサブユニットmRNAのシグナルが認められた。βBサブユニットに関しては、両腫瘍において5.1Kb,4.4KbのmRNAのシグナルが認められ、ラット精巣におけるシグナルと一致した。 顆粒膜細胞腫患者において、術前にインヒビンA,インヒビンBの血中レベルは正常女性に比べ著明に上昇していたが、術後急速にその濃度は低下し検出レベル以下となった。一方、血中FSH濃度は術後上昇し、血中エストラジオール濃度は術前上昇していたが、術後低下した。セルトリ・ラィディク細胞腫患者においては術前にインヒビンA,インヒビンB,テストテロンの血中濃度は著明に上昇していたが、術後ともに急速に低下し正常レベルとなった。血中FSH濃度は術後上昇し、正常となった。
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