研究概要 |
26-29日令ラットをPMSGにて過排卵誘起後、48時間後にhCGを投与し偽妊娠荘態とし、hCG投与後7,10,141日にフリーラジカル(FR)産生を検出するための蛍光プローブであるDCFHと微小循環観察のためのFITCアルブミンを選択し、in situ digital microfluorographyを用いて黄体微小循環の変化とFR産生の関係を解析した。また、黄体血流と黄体機能の関係を臨床的に検討することを目的とし、パワードプラを用いて、ヒト黄体血流を描出、画像解析にて半定量化し、血中プログステロン(P)値と比較検討した。ラット黄体微小循環は排卵後から変化が認められ、黄体血管密度は排卵後から増加し、hCG投与48時間後には毛細血管網は構築された。また、血管径は偽妊娠前期から中期にかけ変化がなく、後期に減少した。さらに、偽妊娠前期ならびに後期にシャント血管が観察された。黄体実質部分でFRの産生がhCG投与後から観察され、14日目には偽妊娠7,10日目と比較し有意に強い蛍光が観察された。黄休退縮因子であるPGF2αを投与、黄体退縮を惹起し、PGF2α投与後のFRの産生と微小血管構築の変化を観察したところ、PGF2α投写15分でFR産生は有意に増加した。微小循環動態については、PGF2α投与15分後には明らかな変化は認められなかったが、48時間後に毛細血管網密度が低下し、シャント血管も観察された。これらのことから、黄体実質からのFRが微小循環の構築を変化させていると考えられた。ヒトにおける黄体血流と黄体機能の関係は、パワードプラで得られた黄体内血管容積とP値との間に有意な相関が認められた。しかしながら、黄体内血管容積の減少はP減少の時期よりも遅れて認められ、P産生の低下である黄体の機能的退縮と黄体の構造が崩壊していく構造的退縮の間の時間的ずれが血流という観点から示された。
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