研究概要 |
卵巣摘出マウスの骨代謝における特性の解明 1,8週齢雌性マウスにOVXあるいは偽手術(Sham)を施し,経時的に体重・子宮重量・血中E濃度・骨密度の測定および骨形態上から海綿骨領域面積と破骨細胞数の計測を行った。その結果,OVX群はSham群に比して子宮重量とE値の低下が術後1週間目から認められ,2週目に破骨細胞の増加と骨吸収亢進に起因した海綿骨領域面積の減少が観察され,骨密度の減少は4週目で認められた。 2,また,骨髄細胞を採取し,骨髄造血の解析に用いるとともに,骨髄液を回収し,EIA法によりPGE_2を測定した。その結果,OVX群はSham群に比し,骨髄有核細胞数の著しい増加とPGE_2値の上昇が認められた。 エストロゲンの骨髄造血調節作用の解析と骨代謝調節作用との関連性の解明 1,マウスにOVXあるいはShamを施し,OVX群の一部に17β-estradiol(E_2)を投与する。経時的に骨髄細胞の特異的表面抗原マーカーの発現をB-220(B細胞系),Gr-1(顆粒球系),Mac-1(骨髄球全般),IgMμ鎖に対するモノクローナル抗体を用いてFlow Cytometryにより解析した。その結果,術後2週目よりOVX群では骨髄有核細胞数の増加とともに,B-220陽性率の上昇とMac-1およびGr-1陽性率の低下が認められた。各陽性細胞数を比較すると,B-220陽性細胞数の著明な増加(Sham:2.4×10^6cells/tibia,OVX:4.2×10^6cells/tibia)が観察されたが,他の細胞数は変動を認めなかった。 さらに増加したB-220陽性細胞は膜表面IgM陰性のBリンパ球前駆(pre B)細胞であることが判明した。
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