研究概要 |
エストロゲンの骨髄造血調節作用の解析と骨代謝調節作用との関連性の解明 (1) 前年度に引き続き,さらにエストロゲンの造血調節作用をIn vitroで解析するために,正常マウス脛骨より採取した骨髄細胞と骨髄間質細胞株ST2をエストラジオール(E2)存在・非存在下で8日間培養し,骨髄細胞の分化を解析した。その結果,E_2非存在下のコントロールではB220陽性細胞数は70%であったのに比し,10^<-8>MのE_2存在下ではB220陽性細胞数は32%と半減した。さらにE_2存在・非存在下でB220陽性細胞数をカウントすると,E_2はB細胞陽性細胞数をほぼ用量依存的に抑制した。そこで骨髄細胞の共存や接着が骨髄間質細胞の形質や局所因子の産生に及ぼす影響を解析し,エストロゲンの造血調節作用と骨代謝調節作用の関連を探索する必要が生じ,以下の(2)の実験を行った。 (2) エストロゲンによるB細胞の分化・増殖の調節過程における骨髄間質細胞の役割を検討するために,IL-7を含む軟寒天培地上でマウス骨髄細胞を培養することによって5〜6日でB細胞前駆体がコロニー形成するが,この培地にE_2を添加し,B細胞前駆体のコロニー数がどのように変化するかを解析した。その結果,この実験においてもE_2はB細胞前駆体のコロニー数をほぼ用量依存的に抑制した。上記のin vitroの実験にてエストロゲンがB細胞へ直接作用して増殖・分化を抑制するのではなく,骨髄間質細胞を介した間接的な機序によりB細胞等の増殖・分化を抑制することが示唆された。
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