研究概要 |
1.無精子症例及び乏精子症例並びに健常男性のアンドロゲンレセプター遺伝子の解析 我々は、以前アンドロゲン不応症においてアンドロゲンレセプターN末端ドメインのグルタミンリピート数の減少が、その発症に関与しているという報告をし、アンドロゲンレセプターと性分化の関係を示したが、今回造精機能との関連を検討するために、不妊男性におけるアンドロゲンレセプターのグルタミンリピート数を解析した。 現在まで、無精子症及び乏精子症例59名および健常男性34名の血液よりDNAを分離し、グルタミンリピート数を検討した。健常男性34名中グルタミンリピート数が16回以下の症例は全く認めなかったが、不妊男性群では、59例中8例に16回以下(15回6例、16回2例)のものを認めた。これら16回以下の発現率は統計学的に有意な差を示した。 2.in vitro発現系を用いた検討 我々は,以前アンドロゲンレセプター遺伝子のグルタミンリピート数が13に減少している症例にて標的遺伝子の発現を有意に低下させることを示した。つまり、13回のグルタミンリピート数のアンドロゲンレセプターは、標的遺伝子であるMMTV-LTRの支配下にあるルシフェラーゼ遺伝子の活性を正常のアンドロゲンレセプター(グルタミンリピート数23)と比べて有意に低下させた。この方法を用いてグルタミンリピート数15および16の影響を検討するため、現在遺伝子組み換え中である。 以上現在まで本研究の成果について報告する。
|