研究概要 |
1.卵巣癌における癌退縮抗原関連蛋白、血中MAGE-4,SART-1,ART-4の発現とその臨床的意義の検討 MAGE遺伝子familyのうちMAGE-4遺伝子と関係が深いのが、MAGE-4蛋白である。卵巣癌患者62症例の検討では21%に発現がみられた。特異的なCTLにより認識される癌退縮抗原関連蛋白が発見されて以来、癌ワクチン療法が芽生えつつあるが、MAGE関連蛋白は主として、日本人には比較的稀なタイプであるHLA-A1に拘束されるCTLで認識されるためワクチン療法への応用には限界が感じられる。しかし、扁平上皮癌組織や腺癌組織から得られたSART-1やART-4などの癌退縮抗原関連蛋白は、それぞれ子宮頚部扁平上皮癌の54%、卵巣癌の60%以上に発現が認められる。これらは、共に日本人の60%に発現するHLA-A24に拘束される腫瘍特異的なCTLを誘導するため免疫療法として期待される。 2.癌ワクチン療法の実際的な検討 これを踏まえて、HLA-A24,HLA-A2に拘束される抗原ペプチド30種類により、婦人科癌患者リンパ球のスクリーニングを行い、ペプチド特異的CTL前駆体の存在をみた症例に対するワクチン療法を学内IRBの承認のもとに計画した。現在、子宮頚癌3例と体癌、卵巣癌の各1例に対して始めており、ペプチド特異的CTL前駆体の存在の変化を検討している。 3.ラット卵巣癌組織におけるp53発現性の検討 DMBA誘発卵巣癌組織24例につき酵母アッセイ法にてp53の発現を検討した。19例(79%)に腺癌が認められたが、そのうち8例(42%)では60%以上の高いp53含有が認められた。
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