研究概要 |
一晩の交尾によって作成した妊娠ラットは、翌朝の膣スメアで精子を確認した日を妊娠0日とすると、妊娠21日の午後に大部分のラットが分娩する。そこで、次のような方法で、正常妊娠ラットおよび早産陣痛発来ラットを用いて、妊娠進行に伴う血中アキシトシン濃度の推移とオキシトシン拮抗剤の分娩に対する影響について検討した。 方法は、(1)血中オキシトシンの定量:妊娠ラットの血漿よりSEP-PAK C18ミニカラムを用いてオキシトシンを抽出し、PIA法にて測定した。(2)分娩遅延作用:エーテル麻酔した妊娠18日目のラットの両側卵巣を摘出し、直後より12時間ごとにエストラジオール(1μg/body)を4回投与して早産モデルとした。オキシトシン拮抗剤(L-366,509:10,20,50mg/kg)は正常陣痛発来時より,また早産モデルにおいては術後30時間より4時間ごとに6回背部皮下に注射した。(3)In vivo子宮収縮:ウレタン麻酔した妊娠19および21日目のラット子宮内圧変化をバルーン法にて測定した。 結果は、正常妊娠19および21日目前半の血中オキシトシン値は非妊娠ラットの値と大差はなかったが、妊娠21日目後半では有意に上昇し、第一仔分娩時には非妊時の約2.7倍に達した。早産発来時の血中オキシトシン値も非妊時および妊娠19日目より、有意に高値であった。オキシトシン拮抗剤の投与により、正常陣痛や早産陣痛の発来が、明らかに遅延した。さらに、麻酔ラットの自発性子宮収縮に対して、オキシトシン拮抗剤は妊娠19日は無効であったが、21日目後半では明らかな抑制作用が認められた。
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