切迫早産薬物療法におけるオキシトラン拮抗剤の臨床応用に関する研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09671725
• 研究機関: 福岡大学
• 研究代表者: 瓦林 達比古 福岡大学, 医学部, 教授 (30142350)
• キーワード: 切迫早産 / ヒト子宮筋 / オキシトシン / オキシトシン拮抗剤

研究概要

オキシトシン拮抗剤は、大きくペプチドタイプと非ペプチドタイプに分類される。われわれの妊娠ラット子宮におけるin vivoおよびin vitro実験結果によると、双方共に血中オキシトシン濃度が高い妊娠末期の子宮やオキシトシン誘発子宮収縮は著明に抑制した。しかしながら、前者は自発収縮やPGF_<2a>誘発収縮には無効であったが、後者は比較的高濃度で両者を抑制した。また、前者は内服すれば胃内で分解されるが、後者は分解されずに内服投与が可能である。そこで、非ペプチドタイプオキシトシン拮抗剤であるL-366509の臨床応用を前提として、今年度は妊娠ヒト子宮筋の収縮に及ぼす効果について検討した。筋切片は、同意を得た後帝王切開時に切開創上縁から採取し、等尺性収縮を記録した。L-366509は10^<-7>-10^<-4>Mの濃度を使用した。その結果、自発収縮や高カリウム収縮は低濃度では抑制せず、10^<-4>Mの高濃度で20-30%の抑制が認められた。しかしながら、オキシトシン誘発収縮は3×10^<-6>M位から抑制し始め、10^<-4>Mでは完全に抑制された。これらの結果から、L-366509には子宮筋への直接作用によると思われる収縮抑制作用があるものと思われる。今後の切迫早産の薬物療法への臨床応用が期待できる。

研究成果

• [文献書誌] Makino,I..,Shibata,K.,Makino,Y.,Kangawa,K.,Kawarabayashi,T.: "Adrenomedullin attenuates the hypertension in hypertensive pregnant rats induced by N^G-nitro-L-arginine methyl ester"European Journal of Pharmacology. 371. 159-167 (1999)
• [文献書誌] Makino,Y..,Shibata,K.,Makino,I.,Ono,Y.,Kangawa,K.,Kawarabayashi,T.: "Expression of adrenomedullin in feto-placental circulation of human normotensive pregnant women and pregnancy-induced hyper-tensive women"Endocrinology. 140. 5439-5442 (1999)
• [文献書誌] Tominaga,K.,Honda,K.,Akahoshi,A.,Makino,Y.,Kawarabayashi,T.,Takano,Y.,Kamiya,H.: "Substance P causes adhesion of neutrophils to endothelial cells via protein kinase C"Biological & Pharmaceutical Bulletin. 22. 1242-1245 (1999)
• [文献書誌] Okabe,K.,Inoue,Y.,Kawarabayashi,T.,Kajiya,H.,Okamoto,F.,Soeda,H.: "Physiological significance of hyperpolarization-activated inward currents(In)in smooth muscle cells from the circular layers of pregnant rat myometrium"Pflugers Arch-Eur J Physiol. 439. 76-85 (1999)
• [文献書誌] Makino,I.,Shibata,K.,Makino,Y.,Kangawa.K.,Kawarabayashi,T.: "Potentiation of the hypotensive effect of adrenomedullin in pregnant rats."European Journal of Pharmacology. 385. 129-136 (1999)