研究課題/領域番号 |
09671729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松島 純一 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (60173829)
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研究分担者 |
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
米澤 敏 愛知県コロニー発達障害研究所, 発生学部, 室長 (90001867)
野田坂 佳伸 北海道大学, 歯学部, 教務職員 (30184005)
鎌田 勉 北海道大学, 歯学部, 助手 (20091431)
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キーワード | 人工内耳 / 突然変異マウス / ABR / 刺激電極 |
研究概要 |
本研究では内耳に奇形をおこす突然変異マウスを用いて、小児などにおける聴覚経験のない先天性聾への人工内耳の適応についての基礎実験を行うことを目的としている。 本年度ではまず、対象とする突然変異マウスの組織学的検討、聴覚機能の聴性誘発反応(ABR)による検討を行い、また蝸牛の刺激電極の試作とそれによる刺激の伝達様式を見た。 組織学的にはBUS突然変異遺伝子をホモに有するマウスは生後9-10日あたりからコルチ器の組織配列に乱れが生じ、日数を経るに従って強くなることがわかった。行動学的にも同じ日齢ころから回転・多動などの特有な行動を発現してくることと一致する。BUS遺伝子ヘテロ個体および正常対照として用いたKYF系のマウスではそのような異常は見られなかった。コルチ器の異常は有毛細胞の不動毛の配列にも異常のあることが走査型電子顕微鏡によっても確かめられた。 聴覚機能をABRによって確かめたところ、BUS遺伝子ヘテロおよびKYF系統では生後9-11齢から反応が認められ、日齢を経るに従って閾値は低くなり、成体では5つのピークからなる典型的なABR反応が認められるのに反し、ホモ個体では反応が認められず、成体では100dB HLの強い刺激に対しても反応が認められなかった。このことはBUSホモマウスは生涯聾のままであることを示し、先天的聾の聴覚系に人工内耳をもって蝸牛刺激した場合に聴覚中枢でその刺激がどのように受けとめられるかを調べるよいモデルであることがわかった。 電極の検討では3電極を配置し、両側2つから電流を流し、真ん中から電流を引き込んで電場密度を変化させるとニューロン外から膜の脱分極電位を変化させ発火閾値を制御できることから、効率的な刺激伝達を行いうることがわかった。 来年度ではこれらを用いてマウス・ラットにより蝸牛を電気刺激し、中枢でニューロン活動について検討する予定である。
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