研究課題/領域番号 |
09671731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川瀬 哲明 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50169728)
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研究分担者 |
橋本 省 東北大学, 医学部, 助教授 (20156285)
池田 勝久 東北大学, 医学部, 講師 (70159614)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 単離ラセン神経節 / 人工内耳 / 共焦点レーザー顕微鏡 / Caイオン / Cytotoxity Assay / Fluo-3 and Fura-Red / LASER-scanning microscope |
研究概要 |
(実験1) (方法) 高度難聴耳に対する人工内耳手術の際に、術後成績を左右する大きな要因の一つになると考えられる、蝸牛神経ラセン神経節の機能病理を解析した。対象としては、正常動物と難聴動物(主にカナマイシン耳毒性により作成した難聴動物を使用)の単離ラセン神経節細胞を用い、細胞活性、並びにK+イオン負荷や電気刺激などの脱分極刺激に対する細胞の興奮性の差異を、蛍光指示薬を用いての細胞内Caイオン動態の観察(共焦点レーザー顕微鏡を使用)などにより評価した。細胞活性評価とCaイオン動態観察の為の蛍光指示薬としては、それぞれ、LIVE/DEAD Viability/Cytotoxicity Kit(L-3224)、並びに、Fluo-3/Fura-Redを用いた。 (結果、考察) 正常動物と難聴動物において、単離したラセン神経節細胞の形態に、明らかな差は認められないように思われたが、細胞の興奮性は、難聴動物のそれで明らかに低下していた。すなわち、高K+イオン負荷による脱分極刺激に対する、細胞内Caイオンの上昇の程度は、難聴動物のラセン神経節細胞で有意な低下を認めるものが多かった。この細胞興奮性の低下は、細胞活性の測定では正常と明らかな差を認めなかった対象においても観察され、マクロレベルでは見い出しにくい機能病理の存在が明らかにされた。これらの機能病理に対応する形態学的な変化を、超微形態レベルで観察したが、今回の検討では明確な差異は観察し得なかった。 (実験2) 動物実験では、難聴動物における蝸牛神経節細胞の量的な減少も示された。本結果の臨床応用の追加研究として、ヒトの難聴耳における蝸牛神経の病理を、MRI-CISS画像による内耳道断面像、並びに神経反射で検討しこれら検査の人工内耳の為の術前検査としての有用性も実験2として明らかにした。
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