研究課題/領域番号 |
09671738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 武久 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10139769)
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研究分担者 |
都築 秀明 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90236927)
野田 一郎 福井医科大学, 医学部, 助手 (60283181)
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キーワード | P-糖蛋白 / 内耳 / 耳毒性 / 血圧・内耳関門 / 血液・脳関門 |
研究概要 |
1.FVBマウスおよびmdr 1a遺伝子欠損マウス内耳におけるP-糖蛋白局在の比較 FVBマウスおよびmdr 1a遺伝子欠損マウスの内耳骨包を取り出して脱灰し、OCT compoundに包埋後クライオスタットで10μmの切片を作製した。切片は抗P-糖蛋白モノクローナル抗体C219で反応させた後、さらに二次抗体としてperoxidase標識ヤギ抗マウスIgGを反応させてDABにて発色させた、出来上がった切片を光学顕微鏡で観察した。内耳の毛細血管内皮細胞におけるP-糖蛋白の発現はFVBマウスのみにみられ、mdr 1a遺伝子欠損マウスでは発現がみられないことが確認された。 2.mdr 1a遺伝子欠損マウスの血液・内耳関門機能の検討 (1)mdr 1a遺伝子欠損マウスとFVBマウスにアドリアマイシンを投与し、4,24時間後に内耳や脳組織を採取した。組織内薬物濃度を測定し、得られた薬理動態を比較した。mdr 1a遺伝子欠損マウスでは薬剤の排出が阻害されることにより、内耳組織中のアドリアマイシン濃度が高値を示した。 (2)mdr 1a遺伝子欠損マウスとFVBマウスにアドリアマイシン10mg/kgを投与し、内耳機能をABRを指標にして測定した。FVBマウスではABRの域値上昇は見られなかったが、mdr 1a遺伝子欠損マウスでは投与3週目に平均10dBの域値上昇を認めた。 以上の結果より、P-糖蛋白によって排出されるのは耐性癌細胞と同じくアドリアマイシンであること、mdr 1a遺伝子欠損マウスでは内耳からのアドリアマイシンの排出が行われないために内耳に貯留すること、逆に野生型ではP-糖蛋白によってアドリアマイシンが排出されるために、耳毒性が出現しないのでであろうと推測された。
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