研究課題/領域番号 |
09671742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤木 暢也 京都大学, 医学研究科, 助手 (20271009)
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研究分担者 |
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 聴覚言語 / 脳磁図 / 上側頭回 / 視覚言語 / 視覚野 / 側頭葉-頭頂葉-後頭葉境界領域 / ブローカ野 / 補足運動野 |
研究概要 |
正常人の聴覚言語処理に関して、語音と非語音に対する差を脳磁図を用いて検討した。N100mの潜時は、白色雑音、複合音、語音では有意差はかったが、純音170Hzでは有意に延長していた。ダイポールはすべて上側頭回にあり、刺激間で有意な位置の差はなかった。一方、ダイポール・モーメントは右半球で大きかったが、各刺激間の差は左半球で大きく、白色雑音に比してよ語音、複合音で大きかった。これは、語音の音韻の弁別に関わる活動が、主として優位半球である左の聴覚野で行われていることを示唆する所見と考えられる。 視覚言語の処理については、白色の長方形、漢字、その漢字を分解再構成した読めない文字を呈示し、漢字刺激の場合のみ黙読するという課題を与え、脳活動を計測した。刺激後約100ミリ秒後に見られた視覚野の反応は、漢字、読めない文字に対する反応の振幅が大きかった。200ミリ秒前後に、側頭葉-頭頂葉-後頭葉境界領域に振幅を認めたが、これも、長方形に対する振幅が小さかった。光量の大きい長方形に対する視覚野の反応が大きいという予測に反し、視覚言語の認識に関わる活動が視覚野においてすでに起こっている可能性が示唆された。 視覚言語認知から発語に至る過程については、視覚刺激により発語を行う課題により事象関連脳磁界反応を計測した。刺激後約100ミリ秒後に視覚野に、200ミリ秒前後に側頭葉-頭頂葉-後頭葉境界領域すなわちいわゆるウェルニッケ野と称される部位に活動を認めた。200から400ミリ秒後には前頭葉においても反応が観察され、これらのダイポールは、ブローカ野、右半球ブローカ相同部位、さらに補足運動野にも電流源が推定された。これらの反応は、視覚野から側頭葉-頭頂葉-後頭葉境界領域に至り、その後、前頭葉に至る直列処理を基本としながらも、前頭葉内ではブローカ野、補足運動野が並列処理的に働くことを明らかにしたものと考えれる。
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