研究課題/領域番号 |
09671746
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小池 靖夫 徳島大学, 医学部, 教授 (30026918)
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研究分担者 |
幸田 純治 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (80215178)
大山 玄 徳島大学, 医学部, 講師 (00223975)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | ケプストラム係数 / 発声時声門面積 / 喉頭ストロボスコピー / 発声時呼気量 / 嗄声の評価 / 病的発声機構 |
研究概要 |
代表的喉頭疾患患者ならびに健常成人につき喉頭ストロボスコピーを施行し、発声時の喉頭画像をビデオ録画した。その際、音声を同時記録した。一方、同一被験者につき同一発声条件下に通気孔付きニューモタコグラフによって発声時呼気流率を検知し、音声と共にデータレコーダに記録した。得られた喉頭画像をディジタルデータに変換し、20コマ/秒の静止画像系列を作り、その各コマ毎に発声時声門面積を計測した。また、呼気流率のデータをディジタルデータに変換し、平均呼気流量を算出した。さらに、同時記録された音声信号からケプストラム係数値(Cepstral Peak Amplitude:CPA)を求めた。 得られた発声時声門面積と平均呼気流量の関係を検討し、また、CPAと声門面積ならびに呼気量の関係を検討した。さらにCPAと他の音響指標値との関係を検討した。 とくに中等度以上の嗄声におけるCPAのふるまいを検討し、中等度以上の嗄声においてケプストラムによる嗄声評価法の基準となり得る情報を追求した。 検討の結果、発声時声門面積と発声時平均呼気量の間には、明瞭な比例関係があることがわかった。CPAと呼気量の間には逆比例関係があるが、その関係は直線的でなく、喉頭疾患の種類によって異なっていた。CPAは喉頭疾患の種類や程度に応じて、広範囲な値をとった。中程度以上の嗄声でもCPAが異常な値をとることはなかったが、CPAの値は小さな値に収斂する傾向があり、CPAのみによって高度嗄声を評価するのは不適当であると思われた。この際、基準となり得るのは発声時声門間隙の大きさ(声門面積)であるが、声門面積は計測がが容易ではない。従って臨床的には、声門面積と比例関係にある発声時呼気量をケプストラムによる嗄声評価法の補完情報として利用するのが妥当であると思われた。
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