研究課題/領域番号 |
09671748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 信五 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (80157750)
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研究分担者 |
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60284410)
松田 正司 愛媛大学, 医学部, 教授 (40173843)
溝淵 睦彦 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (00166042)
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キーワード | ベル麻痺 / Ramsay Hunt症候群 / HSV-1 / 顔面神経麻痺 / PCR法 / Zoster sine herpete / 脱髄 |
研究概要 |
1)Ramsay Hunt症候群において、顔面神経麻痺、帯状疱疹、難聴の3主徴の現れる症例では診断は容易であるが、外耳道または耳介が軽度発赤しているだけの症例や、経過中に帯状疱疹の現れない、いわゆる、zoster sine herpete(ZSH)ではウイルス抗体価の検査をしない限り確定診断はできない。このような症例では初診時にはベル麻痺と診断され適切な早期治療が行われない可能性がある。Hunt症候群、ZSHにおける顔面神経麻痺の予後はBell麻痺に比べ不良であり、早期診断、早期治療が重要となる。一方、申請者らは100名を超えるRamsay Hunt症候群の患者の治療効果を検討し、抗ウイルス剤を顔面神経麻痺発症3日以内に投与すれば効果的であるという結果を既に発表している。我々は麻痺発症後5日以内に当科を受診し、Hunt症候群の典型的な臨床症状は示さないものの、Hunt症候群が疑われた9症例について耳介皮下浸出液、涙、末梢リンパ球からPCRによる帯状疱疹ウイルスDNAの検出を行い、その早期診断への応用を検討した。その結果、経過観察中に帯状疱疹が出現した3症例では2例(67%)において、またZSHの6例では3例(50%)において耳介血からVZV-DNAが検出された。また、末梢リンパ球、涙からは採取した9検体の何れからもVZV-DNAは検出されなかった。このことからHunt症候群、ZSHの患者における耳介血からPCR法を用いて帯状疱疹ウイルスDNAの検出を行うことが、早期診断へ応用できる可能性が示唆された。 2)HSV-1接種によるマウス顔面神経麻痺モデルを用いて、顔面神経、脳幹を電子顕微鏡で観察し、髄鞘の崩壊と軸索の残存を確認した。このことからHSV-1感染による顔面神経麻痺は脱髄による神経伝導障害により生じていることが明らかとなった。
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