研究課題/領域番号 |
09671748
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 信五 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (80157750)
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研究分担者 |
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60284410)
松田 正司 愛媛大学, 医学部, 教授 (40173843)
溝淵 睦彦 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (00166042)
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キーワード | ベル麻痺 / ヒト単純ヘルペスウイルス1型 / 顔面神経麻痺モデル動物 / PCR / blood nerve barrier / zoster sine herpete / 早期診断 |
研究概要 |
特発性顔面神経麻痺、いわゆるベル麻痺はヒト単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の感染、再活性化により発症すると考えられているが、麻痺発症における宿主免疫および麻痺発症機序に関しては明らかでない。本研究ではHSV-1をマウスの耳介に接種し一側性一過性の顔面神経麻痺モデル動物を用い、週齢別顔面神経麻痺発症率と、抗HSV-1抗体や感作T細胞を移入し、顔面神経麻痺発症における特異免疫の関与を検討した。また同時に顔面神経および脳幹へのHSV-1感染動態を、polymerase chain reaction(PCR)を用いて経時的に観察した。その結果、HSV-1による顔面神経麻痺の発症はT細胞による自己免疫的な機序ではなく、ウイルスの直接的な障害により生じる脱髄であることが明らかになった。さらに、顔面神経麻痺発症には宿主の免疫能とウイルスの感染部位、さらに、blood-nerve barrierの存在が重要であることが明らかになった。 また、ハント症候群は典型例では耳介帯状庖疹、顔面神経麻痺、めまいなどの臨床症状を呈するが、耳介帯状庖疹を欠くいわゆるzoster sine herpeteが存在し、ベル麻痺との鑑別が困難となってきており、臨床において重要な問題となっている。本研究ではハント症候群の涙液、末梢単核球、髄液、耳介血などからVZV DNAの検出を試み、ハント症候群におけるウイルスの分布とこれらの臨床材料を用いた早期診断の可能性を検討した。その結果、ハント症候群ではウイルスの再活性化は、顔面神経や内耳神経の支配領域に留まるものではなく、全身に及でいることが明らかになり、また耳介血や涙液からのVZV DNAの検出はzoster-sine herpeteや水庖が出現する以前にハント症候群とベル麻痺の早期診断に有効であることが明らかになった。
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