研究概要 |
1. 内耳血管条中間細胞の内向き整流性K^+コンダクタンス(Neuroscience Letters 247:175-178,1998)。単離中間細胞をパッチクランプ法で調べ、内向き整流性K^+コンダクタンスの存在を電気生理学的に証明し、膜電位の形成に主要な役割を果たしていることを示した。また薬剤に対する感受性が似ていることから、このコンダクタンスが内リンパ直流電位の形成と血管条内のK^+輸送にに深く関与していると考察した。 2. 内耳血管条中間細胞と血管周皮細胞・内皮細胞のgap junctionによる細胞間結合(Cell and Tissue Research 293:271-275,1998)。血管条組織をin vitroで維持し、中間細胞に色素(ルシファーイエロー)を電気泳動法で注入した。色素が中間細胞から毛細血管を構成する周皮細胞と内皮細胞の細胞内に拡散したことから、これらの細胞がgap junctionによって結合していることを示した。この結果により周皮細胞と内皮細胞の膜コンダクタンスが内リンパ直流電位の形成と血管条内のイオン輸送に直接かかわっている可能性を示した。 3. 血管条内毛細血管網の発達経過(Hearing Research 123:145-156,1998)。スナネズミをつかって、血管条に特徴的な毛細血管網が発達する経過を、時間経過を追って定量的に調べた。血管網の原形はまずラセン靭帯内につくられ、その後血管条内の血管とラセン靭帯内の血管に分かれてゆくことがわかった。また血管条内の毛細血管網が完成したあとも、細胞との位置関係が変化することを示した。
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