超電導量子干渉装置を用いた味覚受容の研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09671751
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 山本 智矢 九州大学, 医学部, 講師 (30230577)
• 研究分担者: 山下 弘之 九州大学, 医学部, 助手 (10264029)
• キーワード: SQUID / 脳磁図 / 味覚 / 口腔知覚 / 嚥下障害 / QOL

研究概要

超電導量子干渉装置(SQUID,Super-conductibve Quantum Interference Device)により、中枢神経活動に伴って発生する微弱な磁気を非侵襲的に記録し、中枢神経活動の部位をミリ単位で同定することができる。今回の研究では、前回作成した刺激制御装置を更新し、SQUIDを用いて味覚および口腔咽頭知覚刺激に対する誘発磁気反応を解析し、口腔知覚および味覚中枢の認知機構を解析することを目的とした。
本年度は、コンピューターによる空気圧制御を用いて舌をはじめとする口腔内に味覚及び口腔知覚刺激を加える装置を開発した。
新しい刺激装置により、安定して口腔内に味覚溶液を供給できるようになった。味覚刺激に対する反応は、大脳弁蓋部から島部に同定された。さらにシングルチューブから空気を噴出し、咽頭、喉頭領域の知覚刺激に対する感覚野を解析したところ中心溝下部から弁蓋部に同定された。
この手法によって、ヒトの口腔、咽頭、領域の味覚および知覚の大脳半球における機能マッピングが完成した。正常被験者だけでなく、球麻痺においても同様の解析を行い、咽頭知覚の低下を明らかにした。これにより味覚、嚥下、咀嚼といったヒトのQuality of lifeに直結する機能の侵襲的臨床検査法とに実用の展望を得ることができた。

研究成果

• [文献書誌] Morioka T: "Magnetic source imaging of the sensory cortex on the surface anatomy MR scanning" Neurol Res. 20. 235-241 (1998)
• [文献書誌] Ishibashi H: "Three-dimensional localization of subclinical ictal activity by magnetoencephalography:correlation with invasive monitoring" Surg Neurol. 50. 157-163 (1998)
• [文献書誌] Shigeto H: "Visual evoked cortical magnetic responses to checkerboard pattern reversal situmulation:a study on the nerral generators of N75,P100 and N145" J Neurol Sci. 156. 186-194 (1998)
• [文献書誌] Ishibashi H: "Magnetoencephalographic evaluation of anterior corpus callosotomy for intractable epilepsy in a patient with Lennox-Gaustaut syndrone" J Epilepus. 11. 202-207 (1998)
• [文献書誌] 山本智矢: "臨床診断における脳磁図の有用性と限界" 臨床脳波. 40. 635-639 (1998)
• [文献書誌] 森岡隆人: "脳梁脂肪腫:神経磁気計測装置(magentoencephalography:MEG)による病態解析" 臨床脳波. 40(6). 414-418 (1998)
• [文献書誌] 山本智矢: "耳鼻咽喉科・頭頚部外科クリニカルトレンドPart 2 脳磁図で何がわかるか" 中山書店, 5 (1998)