口腔、咽頭、喉頭は摂食、発生、呼吸などの生命維持特に重要な機能をもっており、高齢化のすすむ現状ではこれらの機能の障害はQQL(Quality of Life)の低下に直結する。すかし口腔、咽頭、喉頭の知覚や味覚認知に関する知見は、聴覚や他の体性感覚の研究に比べ必ずしも充分でない。今回の研究ではコンピューターを用いた空気圧制御により口腔内の舌、中咽頭、下咽頭、喉頭入口部の数カ所をランダムな間隔と順序で刺激した。刺激に対する誘発反応を加算平均し、反応部位を解析することにより、口腔、中咽頭、下咽頭、喉頭の知覚の認知がどこで、いつ成立しているかを解析した。同様に空気圧を用いて味覚刺激溶液を口腔に供給し誘発磁気反応も記録した。 今回ヒトの顔面、口唇、頬粘膜、舌、咽頭、喉頭に加えた知覚刺激に対する誘発磁気反応を体性感覚野(エリア3)を中心とした左大脳半球でSQUIDを用いて記録し活動部位を解析した。この手法により口腔知覚が大脳中心溝下部の顔面および口唇の感覚野より前下方の弁蓋部に分布していることが初めて明らかになった。また味覚誘発磁気反応の位置は同様に大脳弁蓋部から島にかけて存在した。
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