研究課題/領域番号 |
09671752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
進 武幹 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (70080869)
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研究分担者 |
宮崎 純二 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50284633)
安達 朝幸 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (40260731)
高木 誠治 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60284634)
大谷 信二 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (80274596)
津田 邦良 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (40207387)
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キーワード | 上喉頭神経 / 脳幹正中矢状切断 / 一側嚥下 / 対称性嚥下 |
研究概要 |
本研究は、嚥下における咽・喉頭の両側対称性筋活動形成に重要な上喉頭神経を介する情報の対側脳幹への入力において、その交叉経路を解明することを目的とした。実験には除脳ネコを用い、一側上喉頭神経刺激による脳幹正中矢状切断の咽頭および喉頭筋の対称性嚥下出力の変化について検討した。さらに上喉頭神経甲状披裂筋(SLN-TA)反射の変化についても検討した。脳幹の切断部位は、obexの尾側3mmから吻側6mmまでの9mmで、3mmずつ3等分し切断順序を変えて切断した。 その結果、切断部位に関わらず、1部位のみの切断では対称性嚥下および対側SLN-TA反射は、全例で変化を認めなかった。2部位の切断により、半数の50%が、一側嚥下または嚥下惹起不能となった。今回の一側嚥下とは、上喉頭神経刺激と対側の甲状披裂筋、甲状舌骨筋の活動が消失し、同側の甲状披裂筋、甲状舌骨筋および両側の輪状咽頭筋の活動が残存しているもので、一側嚥下を示した全例がこの活動様式であった。その際の対側SLN-TA反射は嚥下活動の変化に関わらず残存していた。残りの50%は、2部位の切断では嚥下活動に変化を示さないものの、切断順序によらず3部位すべての切断において嚥下活動の変化と対側SLN-TA反射の消失を認めた。このうち、33%は、嚥下活動の変化と対側SLN-TA反射の消失を引き起こす切断部位とは、必ずしも一致していなかった。以上のことから、上喉頭神経を介する情報の対側脳幹への入力は、特定の経路を介さず、延髄内にび慢性に存在することが判明し、このような嚥下に関係する対側脳幹への交叉性入力が、対称性嚥下の形成に大きな役割を果たしていることが示唆された。
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