ゲノムレベルでE-cadherinの変異を調べた。また、低酸素状態におけるE-cadherinの発現の変化を調べるために、in vitroで低酸素状態の再現を試みた。 1)低酸素におけるE-cadherin発現の影響 低酸素状態の再現は、Hypoxic chamberと95%窒素および5%二酸化炭素の混合ガスを用いて再現した。subconfluentな状態の頭頚部癌細胞をこのchamber内に置き、15L/minで上記混合ガスを流し、細胞を低酸素状態に置いた。通常状態での培養液中の酸素分圧は149.1mmHgであったが、上記環境下では30分後に60.7mmHgに低下していた。上記設定で低酸素状態が実現できたと考えている。 2)E-cadherin遺伝子変異の検索 E-cadherin遺伝子の中ですべてのcoding regionについて変異を検索した。頭頚部癌9症例中1例でcytoplasmic domain のexon 16にアミノ酸変異を伴う変異が認められた。同部は細胞内へのシグナル伝達に必要不可欠であることから、頭頸部癌細胞の悪性度の変化に影響を及ぼしていることが推察された。
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