研究概要 |
本実験は、ラジカル消去剤であるsuperoxide dismutasse(SOD)、glutathione(GSH)等を阻害不活化する事により癌細胞にアポトーシスを誘導させる事、(2)ラジカル増加によるアポトーシス誘導の生化学的機序を解明する事を目的とした。細胞は、アポトーシス実験に多用されているHL-60細胞を用いた。 O_2-ラジカルを消去する、SODの内、細胞質、核に存在するCu,Zn-SODの阻害には、銅キレータであるDiehthyldithiocarbamate(DDC)を使用した。 DDCの添加により、Cu,Zn-SODの活性は、用量依存的に有意に低下を示した。それらの低下に伴い、FACscanにて測定した細胞内ラジカル量は増加を示した。DDC投与後の、DNA fragmentationは、DDCの用量依存的、時間依存的に増加を示した。このDDC誘導アポトーシスは、NACの投与により抑制された。またDDCのよるアポトーシス誘導時のglutathione peroxidase(Gpx)活性の測定の結果、このアポトーシスには、Gpxは関与しないことが示唆された。以上の結果から、細胞内O_2-ラジカルの上昇に伴い、アポトーシスが誘導され、O_2-ラジカルは細胞障害性よりは、むしろシグナル伝達に関連している可能性が示唆された。 TNFαは、ラジカルを介して細胞にアポトーシスを誘導させる.しかしメラノーマなど多くの細胞は、TNFαに耐性を示す。この時、細胞にMn-SODが増加することが認められた。そしてTNFαによるMn-SOD誘導機構にc-kinaseが関与することが確認された。そこでMn-SODの誘導をc-kinase阻害剤H7にて阻害すると、TNFαの抗腫瘍活性が回復する事を認めた。
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