[方法]液体培地を用いてラットC6細胞浮遊液を1.0×10^6cells/mlに調整し、Pfを各々25、75、150μg/ml添加し、暗所で4℃、10分間放置した。ラットC6細胞浮遊液を超音波単独照射群(n=27)と超音波+Pt(75μg/ml)併用群(n=12)に分けた。また超音波強度を0.3W/cm^2とし、5、15、30秒間照射後の各々の生細胞率を測定した。使用した薬剤はHp誘導体の1つであるポルフィマーナトリウム(Pf)である。なお超音波非照射群(対照群)および超音波単独照射群にも同量の5%ブドウ糖溶液を添加し、同様の処理を行った。各実験群の生細胞率を二元配置分散分析法およびt-testを用いて有意差の検定を行なった。 [結果]照射時間を5、15および30秒と延長させるにしたがい、超音波単独照射群の生細胞率は60.2±14.9、27.4±5.8および10.7±5.3%と有意に減少した(p<0.01)。超音波+Pf併用群でも同様に58.6±13.1、13.6±6.8および2.6±1.4%と減少を示した。各々の照射時間における生細胞率を比較すると、15秒および30秒間照射においてに薬物併用群は有意に減少していた(p<0.01)。超音波単独照射群の生胞胞率は10.7±5.3%であった。Pf濃度25、75および150μg/mlと変化させた超音波+Pf併用群の生細胞率は、各々4.2±1.8、2.6±1.4、2.9±2.9%であり、超音波単独群と比較して有意に減少していた(p<0.01)しかしそれぞれの群(F:G:H)の間では生細胞率に有意な差はなかった。 [考察]音響化学療法はグリオーマ細胞に対して有意な殺細胞効果を示した。その効果は超音波強度および照射時間に比例して顕著となり、超音波単独照射と比較して有意に増強された。超音波を用いる音響化学療法の悪性神経膠腫細胞に対する臨床応用の可能性を明らかにした。
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