機能を温存し根治性を損なわないQOLの高い治療を行うために、抗癌剤に感受性のある症例を選択すること、さらに、より効果的な併用療法を開発することが研究の目的である。 喉頭機能温存を目的として進行頭頸部癌および再発頭頸部癌を対象に5FUを先行したCisplatinとの併用化学療法(FP療法)を行った。3週間間隔で5FU 600mg/m^2/day6日間持続点滴後、Cisplatin 80mg/m^2/day を投与した。CR(喉頭はPR)症例は照射療法を追加し、PR(喉頭はNC)以下では手術療法を行った。対象は無治療の頭頸部扁平上皮癌9例(下咽頭6例、喉頭3例)と再発癌(下咽頭)2例の11例である。全例男性で年齢の中央値は52才(45-75)。平均投与回数は2.5回。治療効果はCR1例、PR7例、NC3例で奏効率73%であった。喉頭の温存率は3/9例、33%であった。さらに化学療法例(FP療法とweekly PF療法を含む)22例を対象に、MTTassayをend-pointにした抗癌剤感受性試験(HDRA)でCisplatin 20μg/mlでの腫瘍発育阻止率(I.I.)と免疫組織染色によるp53蛋白の発現を検討した。HDRAでは11/21例、52%が感受性あり(I.I.≧50%)と判定された。臨床効果(CR+PR:13)との比較では真陽性率77%、真陰性率75%であった。p53蛋白の発現では6/20例、30%にp53の発現を認めた。臨床効果(CR+PR:13)との比較では真陽性率79%、真陰性率67%であった。HDRAとp53の両者を判定に用いるとI.I.≧50%でp53(-)であった9例は全てCR+PRであり、I.I.<50%でp53(+)であった3例は全てNC+PDであった。以上より、HDRAとp53蛋白発現は頭頸部癌に対するPF療法での感受性例の判定に有用であることが示された。
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