1) 併用化学療法:進行頭頚部癌17例および再発頭頚部扁平上皮癌7例に5FU先行の5FU/シスプラチン併用化学療法(FP)を行い、奏効率は50%であった。下咽頭・喉頭癌例19例中6例、32%にて喉頭の温存が可能であり、有用性が示された。 2) 抗癌剤感受性試験(Histoculture drug response assay(HDRA))とp53遺伝子による抗癌剤感受性の予測:FPおよびweekly PF療法を行った32症例で、化学療法施行前の腫瘍組織についてPCR-SSCP法とDirect Sequence法によるp53変異、免疫組織染色によるp53蛋白発現、HDRA法によるシスプラチンの感受性試験を行い臨床効果との相関性を検討した。p53変異は32例中7例(22%)に、p53蛋白発現は20例中6例(30%)に認められ、HDRAは20例中11例(55%)が陽性であった。臨床効果はp53変異陽性7例で奏効(PR以上)が4例、p53蛋白発現陽性6例で奏効が1例、HDRA陽性11例で奏効が7例であり、単独では臨床効果と有意な相関は認めなかった。p53蛋白発現陰性かつHDRA陽性の8例では奏効が7例、無効例が1例であり有意な相関が認められた(p<.02)。HDRAとp53遺伝子蛋白発現により感受性予測が可能であることが示された。 3) シスプラチン抵抗性腫瘍に対する抗癌剤感受性試験からの検討: シスプラチン抵抗性の克服を目的として交叉耐性のない薬剤であるPaclitaxel(TXL)の感受性との関係について検討した。23症例、27検体にHDRA法を行った。シスプラチン低感受性または抵抗性である16検体中5検体、31%でTXL高感受性であり、両薬剤を合せると63%の腫瘍がシスプラチンとTXLの一方または両薬剤に高感受性を示し、内、19%は併用療法による効果が期待された。
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