研究概要 |
BUS/Idrマウスは、行動異常を伴う内耳聴覚障害ミュータントマウスである。この病因因子を特定するための第一ステップとして、原因遺伝子(bus)の染色体マッピングを行ない、この遺伝子が第10染色体上にあることを明らかにした。詳細なリンケージ解析の結果、bus遺伝子はD10Mit110-0.1cM-(D10Mit127,D10Mit59)-1.09±0.62cM-bus-0.72±0.51cM-(D10Mit48,D10Mit112,D10Mit258)一0.3cM-D10Mit149-0.3cM-D10Mit111といった位置関係で存在することが明らかとなり、この障害遺伝子が古くから知られた聴覚障害遺伝子waltzer(v)の対立遺伝子である可能性が強く示唆された。そこで米国より、waltzer(v)の対立遺伝子として記載されているAlbany waltzer(v^<Alb>)のへテロ雄マウスを入手し、BUSマウスとの間でallelism testを行なった。その結果、+/bus x+/v^<Alb>より得られた57個体のうち、13個体(totalの23%)が行動異常を示し、この値は、busとv^<Alb>が対立遺伝子であるとした時の期待値25%と有意には異ならなかった。また、bus/bus x+/v^<Alb>から得られた15個体のうち10個体に行動異常が認められた。これら行動異常個体の内耳聴覚器には、BUSマウスに類似の退行変性が確認されることから、busがvの対立遺伝子の一つとして位置づけられることが明らかとなり、bus遺伝子をv^<bus>として再登録した。現在、v^<bus>遺伝子の本体解明に向けて、BUSマウス及び正常マウスの胎生期内耳RNA標品を用いたサブトラクション法を利用して解析をすすめている。
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