研究課題/領域番号 |
09671779
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
米澤 敏 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 発生学部, 室長 (90001867)
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研究分担者 |
日下部 守昭 理化学研究所, 実験動物室, 部長 (60153277)
花井 敦子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 共同研究所, 助手
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キーワード | 聴覚障害マウス / 聴覚障害遺伝子 / 染色体マッピング / Usher 1D症候群 / DFNB12 / waltzer対立遺伝子 / ミオシン10型 |
研究概要 |
これまでの調査から、行動異常を伴う内耳機能障害ミュータントマウス(BUS/Idr)の原因遺伝子(bus)は第10染色体上にあり、Albany waltzer(v^<Alb>)マウスとのallelism testの結果から、waltzerの対立遺伝子であると考えられていた。この点を確かめるために、再度、オリジナルのwaltzerマウスを入手して交雑実験を行なった。その結果、v/vx bus/busの交雑により得られた24個体のF1は全てcircling head bobbingを示す行動異常個体であり、busのvalleleとしての位置が確立された。原因遺伝子の特定を目指して、BUS strainの+/+およびbus/bus個体の精巣より調製したmRNAを出発材料として、cDNA subtraction法を試みた。得られた200クローンについて調べたところ、bus遺伝子と同じ第10染色体に位置する数種の候補遺伝子が認められたが、PCR解析での検討により、いずれもfalse positiveであることがわかった。現在、GenBank dataとの照合によっても同定されない52種のcDNAクローンについて解析中である。また、BUS,Albany waltzerマウスの内耳組織由来のRNA標品を出発材料として同種の実験が進行中である。 内耳異常の原因遺伝子として、近年、3種のミオシン遺伝子の異常が報告されている。我々は、BUSマウスの原因因子として未知のミオシンが関与している可能性を検索した。その結果、内耳組織に機能未知のミオシン10型の発現を見い出した。この分子は内耳のほか、精巣、腎臓などに発現していることがわかった。染色体マッピングの結果、マウスでは第15染色体に、ヒトでは第5染色体にマップされ、BUSマウスの原因遺伝子候補からは除外された。ヒト第5染色体のこの領域には聴覚障害を伴う頭頂骨異形成症の遺伝子があり、この難病にミオシン10型遺伝子の異常が関係しているかもしれない。
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