現在行われている屈折矯正手術は、光学的角膜切除と角膜切開の2つに大別される。今回われわれは家兎角膜にそれぞれの手術を行い、膠原線維産生のシャペロンとして機能すると考えられている47kDa熱ショック蛋白(Hsp47)の発現を免疫組織化学的手法を用いて経時的に観察した。 【方法】白色家兎28羽に対し、エキシマレーザーを用いた光学的角膜切除術および放射状角膜切開術を施行した。術施行0、1、3、5、7、14および28日後に眼球を摘出し、固定・包埋のうえ切片を作成し、Hsp47の発現について経時的に観察した。 【結果】光学的角膜切除術では術後3日では角膜上皮細胞基底部と実質浅層の角膜実質細胞にHsp47の発現が認められた。術後5日および7日ではHsp47の発言は角膜実質深層にまでおよんでいた。術後14日ではHsp47の発言は減弱していた。角膜切開術では術後1日で切開部の角膜上皮細胞基底部とその近傍の角膜実質細胞にHsp47の発現が認められた。術後3・5および7日でもHsp47の発現はみられたがその部位は切開部の角膜上皮細胞基底部と切開創の近傍に限局していた。 【考按・結論】いずれの方法でもHsp47の発現が認められたが、その範囲は光学的角膜切除術ではレーザー照射部位の周囲にまで及んでいたが、角膜切開術では切開創の近傍に限局していた。このことより光学的角膜切除術では角膜切開術に比べてより広い範囲に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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