平成9、10年度の研究により眼底最周辺部と毛様体における正常蛍光眼底像が明らかになった。さらに増殖糖尿病網膜症における異常所見が臨床所見の重症度と関係があることも判明した。また、アトピー性白内障、ぶどう膜炎をはじめ各種の網膜疾患の網膜最周辺部および毛様体の蛍光眼底撮影を行い、いくつかの知見を得た。本年度では糖尿病患者について硝子体手術中の内視鏡下蛍光眼底ビデオにより網膜循環時間を記録、解析し、網膜症の重傷度との比較や術前網膜電図によって示される網膜機能との関係を検討した。さらに本年度では引き続きインドシアニングリーン蛍光撮影を用いて脈絡膜血管の造影を増殖糖尿病網膜症の硝子体手術中におこなった。硝子体手術の対象となる重症糖尿病患者では脈絡膜血管構築の疎開化がみられた。全身に見られる大血管症と、眼の大血管症である脈絡網血行の関連についで検討中である。加齢性黄斑変性の手術中では網膜下新生血管が造影されたが、合併する網膜色素上皮の欠損の造影には作成された網膜剥離の処理が必要であることがわかった。また、インドシアニングリーン蛍光撮影により新生血管はしばしば一部残存し、早期の再発の原因になることが判明した。本方法は今後も失明原因の第一位に浮上しつつある加齢性黄斑変性の治療に役立つことが期待される。
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