研究課題/領域番号 |
09671793
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
万代 道子 京都大学, 医学研究科, 助手 (80263086)
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研究分担者 |
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 講師 (50194717)
高木 均 京都大学, 医学研究科, 助手 (70283596)
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キーワード | エンドトキシンぶどう膜炎 / 細胞浸潤 / エストロゲン / E-セレクチン / タモキシフェン |
研究概要 |
今年度は、臨床的に著明な細胞浸潤を特徴とする全眼部ブドウ膜炎が男性優位にみられることから、性ステロイドのひとつであるエストロゲンの細胞浸潤に対する影響を検討した。近年になって、性器官のみならず、他臓器の血管内皮にもエストロゲンのレセプターが存在し、生理的、病理機序に関与していることがわかってきたが、まず我々はラット前眼部の血管内皮にもエストロゲンレセプターが存在することを免疫組織学的に確認した。さらに、オス、メス、卵巣摘出後メスの三者にエンドトキシンブドウ膜炎を惹起して炎症極期の前房中細胞浸潤を比較すると、オス>卵巣摘出後メス>メスの順に浸潤細胞が多かった。さらに、これらにエストロゲンを腹腔内投与すると、細胞浸潤は有意に抑制された(メス>オス)。さらに、このエストロゲンによる細胞浸潤抑制効果は、レセプター拮抗剤であるタモキシフェンで拮抗された。次に、細胞浸潤に関与する因子として、E-セレクチンの発現に対するエストロゲンの効果を検討した。E-セレクチンは、昨年度の我々の研究で、LPS投与6時間後に虹彩毛様体においてそのメッセージの発現がピークとなり、7時間後から血管内皮に免疫組織額的に発現し、エンドトキシンブドウ膜炎発症後の細胞浸潤の維持に関与していることがわかっている。エストロゲンを投与すると、E-セレクチンの発現はメッセージレベルで低下し、またタモキシフェンによりエストロゲン効果は拮抗された。このことから、エストロゲンはその作用機序の一つとしてレセプターを介してセレクチンの発現を遺伝子レベルで抑制することによって細胞浸潤を抑制している可能性が示唆された。
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