研究概要 |
Tight junctionの構成タンパクであるオクルディンは,角膜上皮の基底細胞,翼状細胞ではオクルディンは全く表現されていなかったが,垂直切片で観察すると上皮最表層では細胞間で線状に,その下の細胞層では一部細胞間に点状に表現されていた。このオクルディンの存在をコンフオ-カルマイクロスコピーでみると最表層細胞の細胞間では連続して線状に認められたのに対し,その下層の上皮細胞間では細胞間に点状に認められ,tight junctionの構成タンパクであるオクルディンは上皮の分化に従って上皮細胞間に表現されていくことが判明した。これまでtight junctionの構成タンパクとしてオクルディン以外にもZO-1,ZO-2,7H6などが報告されている。しかし,オクルディンのみがtight junctionの構成の内側に位置するタンパクで,特に,ZO-1は上皮tight junctionに特異的なタンパクと考えられていたが,最近,このZO-1はオクルディンのC末端に結合しているtight junctionの周辺の構成たんぱくで,またこのZO-1はtight junctionばかりでなくadherence junctionにも存在することが判明した。そこで,オクルディンとZO-1の存在部位を比較してみると上皮最表層では同じ部位に存在していたが,ZO-1はオクルディンは存在しない上皮の基底細胞の先端に認められ,この部位はadherence junctionであることを示している。これらより角膜上皮でもオクルディンとZO-1の存在部位は異なっていることが判明した。 角膜上皮でのオクルディンの存在を生化学的に検討した。ウサギ角膜上皮を採取し,得られたタンパクを電気泳動させ,western blotingさせた後,抗オクルディン抗体で反応させると,約62kDの位置でバンドが検出され,生化学的にもオクルディンの角膜上皮での存在が認められた。 現在,新生家兎を用いて,tight junctionの形成とオクルディンの表現との関係,さらにこれらの表現と上皮バリアー機能との関係を検討中である。
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