研究課題/領域番号 |
09671800
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 仁 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60252673)
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研究分担者 |
前田 直之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00273623)
井上 幸次 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10213183)
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キーワード | 角膜上皮 / タイトジャンクション / オクルディン / バリア機能 |
研究概要 |
角膜上皮のtight junctionが上皮のバリアー機能に大きく関与していることから、角膜上皮バリアー機能をanterior fluorometory法にて測定した。方法は0.5%フルオレセイン溶液3μlを結膜嚢に滴下し、10分後20mlの緩衝液で洗浄したあと、anterior fluorophotometryにて測定した。正常者(n=16)ではフルオレセイン値は30.1±2.9ng/mlと低値であった。膠様滴状角膜変性症(n=4)では軽度のものでも140±58ng/mlとフルオレセイン値はやや高値を示しているだけであるのに対し、上皮浮腫が認められる水疱性角膜症(n=8)では2830±1860ng/mlと有意に高値を示し、水疱性角膜症では上皮バリア機能が非常に低下していることが判明した。さらに、薬剤毒性角膜症では明らかな角膜上皮障害がないもの(n=7)でも180±70ng/mlと低下し、さらに、角膜上皮障害があるもの(n=6)では1846±320ng/mlと角膜上皮のバリアー機能は著明に低下していることが判明した。さらに膠様滴状角膜変性症、水疱性角膜症では手術時に角膜上皮を採取し、occludin抗体にて、そのタンパクの存在についてスキャニングマイクロスコープでフラットマウントで観察し、また、切片にて上皮細胞層のいずれの層に存在しているか検討した。正常ではoccludinは表層上皮細胞間に細胞周囲を囲むように連続性に認められ、最表層およびその下1層の上皮細胞間に認められたが、翼状細胞、基底細胞では認められなかった。膠様滴状角膜変性症ではoccludinは表層上皮細胞間に存在し、発現強度、および発現部位についても正常とほぼ同様であったのに対し水疱性角膜症では最表層上皮細胞間ではOccludinは存在したが不連続性であった。 以上より表層上皮細胞間にOccludinが連続性に存在しているものでは上皮バリアー機能はほぼ保たれているが、不連続性である場合、上皮のバリアー機能は著明に低下しており、上皮バリアー機能と上皮最表層間のOccludinの表現には関連があることが判明した。
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