Sprague-Dawleyラットを用いて、網膜に1800luxの光照射を24時間行い、その後、80luxの環境下に戻した。3時間、1、3、7、14日後にそれぞれ眼球を摘出した。網膜におけるmanganese superoxide dismutase(MnSOD)の局在分布を調べた。MnSODは正常網膜では視細胞内節や網膜色素上皮細胞に存在するが、光照射により3時間後には消失する。しかし7日目には回復してくることが判明した。また形態学的には網膜の構築に変化はなく、MnSODの回復が組織傷害の防御に関与していると考えられる。またSDラットを亜鉛欠乏食に飼育し、同様の実験を行った。この状態ではMnSODの回復は少なく、網膜の構築は障害されていた。RT-PCRの結果は、MnSODの発現が確認された。このことから、MnSODは光障害により、網膜の細胞内で産生されていることが示された。同実験モデルを用いて、glutathione peroxidase(GPX)の局在を調べた。GPXはMnSODと異なり、3時間後には網膜色素上皮細胞では消失しているが、1日後には回復し、その後、GPXの分布は変化しない。またメッセンジャーRNAレベルでは多量のGPX発現が確認された。網膜光障害には光化学反応が関与し、MhSODをはじめとする抗酸化酵素の消退、回復が障害の程度を左右する。次年度では光障害の防御を目的に研究を遂行予定である。
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