研究課題/領域番号 |
09671816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中安 清夫 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10124976)
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研究分担者 |
清川 正敏 順天堂大学, 医学部, 助手 (00296865)
古川 裕之 順天堂大学, 医学部, 助手 (60286705)
貞松 良成 順天堂大学, 医学部, 助手 (30266019)
加藤 卓次 順天堂大学, 医学部, 助手 (20296875)
細田 裕治 順天堂大学, 医学部, 助手 (80286723)
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キーワード | エキシマレーザー / 表層角膜切除術 / 上皮下混濁 / 細胞外マトリックス / コラーゲン / プロテオグリカン / 生物活性物質 |
研究概要 |
白色家兎角膜にエキシマレーザー角膜手術装置(ニデック社、EC-5000)を用いて、角膜表層切除術(PTKモード)を施行した。また、トレパンおよびスパーテルを用いた機械的角膜表層切除術も施行した。術後20日目に角膜を固定・包埋し、組織学的および免疫組織化学的に観察した。免疫組織化学的検索用として、I型、III型、IV型コラーゲン、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、ケラタン硫酸、ラージブロテオグリカン、acidic-FGF、basic-FGF、TGF-βに対する抗体を使用した。 エキシマレーザー表層角膜切除術後20日目の角膜を光学および電子顕微鏡で観察すると、表層切除部分の角膜上皮は既に再被覆が終了していた。しかし、上皮直下の実質前層には線維芽細胞様に変化した多数の角膜実質細胞が集合し、細胞間隙には無構造または細線維様の細胞外マトリックスの沈着が観察された。これらの所見は、臨床的に"haze"と呼ばれる上皮下混濁に一致するものと考えられた。この上皮下混濁部分を、免疫組織化学的に観察すると、III型、IV型コラーゲン、コンドロイチン-6-硫酸およびラージプロテオグリカンに対する抗体で強く染色された。一方、正常角膜実質に多く認められるI型コラーゲン、ケラタン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸に対する抗体では、それぞれわずかな陽性所見のみを示した。また、acidic-FGF、basic-FGF、TGF-βについては正常角膜に比べ、特異的な局在または明らかな強弱を示す所見は得られなかった。また、スパーテルを用いた機械的角膜表層切除術を施行した角膜においても、術後の角膜所見は上述の観察結果と全く同様であった。 以上のことより、エキシマレーザーによる表層角膜切除後の角膜実質では通常の非特異的な創傷治癒・瘢痕形成が進行しているものと考えられた。
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