研究概要 |
1. 組織学的検討 白色ウサギの結膜切除後、ヒト羊膜を強膜上に縫着して組織変化をみた。術後7日目まで羊膜上皮細胞は残存し、結膜上皮が羊膜上に再生していた。3週後には、結膜上皮は羊膜実質と接着し、羊膜上皮は消失していた。一部、羊膜周囲に細胞浸潤が認められた。 2. 細胞生物学的検討 羊膜内のbFGF,HGF,TGE-bの存在について、免疫染色と、ELISA法による定量を行った。 bFGF,TGF-β2は主として羊膜上皮細胞質内に認められ、TGF-β1、HGFは羊膜上皮、実質に濡瀰漫性に分布していた。ELISAにより、bFGF,HGF,TGF-β1,TGF-β2の濃度は、各々5.31±3.04,14.2±6.0,2.45±1.45、0.56±0.45ng/gであった。これら成長因子の濃度は、DMSO存在下での70日間の冷凍保存により、17.7%-23.5%まで減少した。羊膜上皮細胞70日間の保存により、約80%viabilityが消失した。 3. 培養 ホモジェナイズした羊膜を、培養した結膜上皮細胞(cell line)、および結膜下線維芽細胞の上清中に加えて、増殖速度を比較した。その結果、羊膜を加えることによって結膜上皮細胞の増殖は有意に阻害され、線維芽細胞の増殖は、逆に促進された。 また、羊膜上に結膜上皮を培養したところ、約2週間で多層化した上皮培養に成功した。これらはへミデスモゾームを持っていたが、杯細胞は認められなかった。
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