研究課題/領域番号 |
09671823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
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研究分担者 |
松沢 昭雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
三木 弘彦 関西医科大学, 医学部, 助教授 (30077771)
仙崎 英人 関西医科大学, 医学部, 講師 (10206659)
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キーワード | 色素性網膜変性症 / ニトロソ尿素 / アポトーシス / 視細胞 / 実験動物 / 色素上皮細胞 |
研究概要 |
1.N-methyl-N-nitrosourea(MNU)による視細胞アポトーシスの種属差の検討 MNUを0.05%酢酸加生食水に溶解してマウス・ラット・ハムスター(齧歯類)、スンクス(食虫類)、サル(霊長類)といった各種属の成熟動物に単回投与すると、性差なく全種属に視細胞アポトーシスに起因する網膜変性が両眼性に惹起された。各種属ともアポトーシスはMNU投与直後より始まり、約1週間の経過でほぼ全ての視細胞の脱落をもって終了する。但し、アポトーシス誘発に要するMNU量はサルでの40mg/kg・体重からハムスターの90mg/kg・体重まで種属により閾値は異なる。なお、病変はサルでは赤道部に初発するが、他の種属ではともに後極部に始まり、やがて全網膜に広がる。MNUより生ずる網膜障害の初発部位ならびに障害誘発に要するMNU量は種属により異なるが、性差・種属差なく視細胞アポトーシスは惹起され、MNU誘発視細胞アポトーシスは、普遍性のある現象であることが判明した。 2.網膜色素上皮細胞の動態 視細胞脱落後の病変が進行した網膜像を比較した。マウス・スンクス・サルでは網膜色素上皮細胞(RPE)はブルッフ膜上に一層連続して正常に配列して存在したが、ラット・ハムスターでは網膜内遊走をみた。なお、ハムスターでは遊走RPEのあるものは網膜内血管基底膜と親和性をもち、血管周囲沈着をみた。 3.ヒト色素性網膜変性症との比較 ヒト色素性網膜変性症(retinitis pigmentosa)は(1)赤道部に初発する視細胞のアポトーシスに始まり、視細胞が脱落した後、(2)RPEの網膜内血管周囲沈着が出現し、眼底所見では骨小体様の形態をもつ色素斑で特徴づけられる。比較病理学的に各MNU誘発モデルを検討すると、いずれも視細胞アポトーシスによる網膜変性は惹起されるが、赤道部に初発する点ではサルモデルのみがヒトと同一であった。しかし、視細胞脱落に続発するRPEの動態に関せば、唯一ハムスターモデルのみがRPEの網膜内血管周囲沈着をみた。
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