研究課題/領域番号 |
09671831
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
市川 徹 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70142338)
|
研究分担者 |
今村 祐司 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70274082)
桧山 英三 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00218744)
|
キーワード | 神経芽細胞腫 / 予後因子 / バイオマーカー / テロメラーゼ / テロメア / 増殖能 / N-myc / 染色体欠失 |
研究概要 |
神経芽細胞腫の治療に有用なBiomarkerを見出すことを目的とし、本腫瘍の腫瘍特性を反映する諸因子について、凍結保存されている146腫瘍について検討した。 1.サザン、ノザン法にてN-myc増幅を21例に有意な発現を46例に認めた。また、Trk A発現は72例に認めた。テロメア長(terminal restriction fragments)を測定した結果27例が8kb以下に短縮し、4例が15kb以上に延長していた。 2.TRAP法にてテロメラーゼ活性を検討すると、140例(96%)に検出しそのうち32例が高活性腫瘍であった。活性の検出できなかった6例中4例が自然退縮した病期IVS症例であった。 3.テロメラーゼRNA(hTR)をノザン法で、RT-PCR法で検討するとテロメラーゼ高活性腫瘍では発現レベルが高く有意の相関を認めた。 4.核DNA量の測定から、aneuploidyが87例で、増殖細胞数が高い腫瘍がテロメラーゼ高活性であった。 5.PCR法にて一番染色体短腕(1p)のLOHを検出したところ、informativeな78例中欠失を32例に検出し、terminalまで欠失した症例が18例であった。 6.病理組織を嶋田分類で検討するとfavorableが84例、unfavorableが62例であった。 臨床的に上記の結果を病期、予後との相関を検討したが組織分類はfavorableは予後良好であったがunfavorableには予後良好例と不良例が混在した。諸因子を多変量解析のするとテロメラーゼ活性レベルが予後不良因子であるN-myc増幅、増殖細胞数が高い腫瘍、1pLOHを吸収し、最もよい予後予測因子と考えられ、これの客観的かつ簡便な診断としてhTR発現の検討も有用と考えられた。以上から、テロメラーゼが神経芽細胞腫の悪性度のBiomarkerとしての有用で、今後診断および治療のターゲットとしての応用が期待される。
|